平成22年4月5日(月)  目次へ  前回に戻る

ハチミツは甘く、胆は苦いもの、と昔から決まっております。

・・・が、突然、皇帝から

「おまえは苦いハチミツ、甘い胆があることを知っておるか」

と問われたら、みなさんはどう答えますか。

「そ、そんなことあるはずありません」

と答えると、

「わしの言うことが間違っていると申すか!」

と叱られまして、クビが「ぽうん」と飛んでしまうかも知れません。

あわわ。どうすればいいのでしょうか・・・。

そんなとき、明の太祖に仕えていたある学者は、落ち着いてこう答えたという。

「知っております」

と。

「ほう、知っておるのか。では、それはどのようなものか」

答えて曰く、

「さよう、

蜂醸黄連花、則蜜苦。

蜂の黄連花を醸せば、すなわち蜜苦し。

ハチが黄色い密集花序を持つ花のミツを集めて来ますと、そのミツはにがいものでございます。

また、

猿猴食果多、則胆甜。

猿猴の果を食らうこと多ければ、すなわち胆甜(あま)し。

サルが木々の果実を多く食べていますと、そのサルの胆臓は甘くなるものでございます。」

皇帝、

「わしは若いころにハチミツだと言われて嘗めたら苦く、動物の胆だと言われて口にしたら甘くて、驚いたことがある。ずっとこれらが何物であったか知りたかったのだが、今ようやく知ることができた」

と頷いて、厚く褒美をとらせた上、医官に採用したという。

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と、明・朱国がその見聞と考証を記した「涌幢小品」に書いてあった。

ほんとかどうかは知りません。誰か実験してみてください。おいらの胆はだいぶ甘いかも。

 

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